イラストレーターの「好きなことを仕事にする」の本当の意味について考えてみた。

みなさまこんにちは。
イラストレーターの宮師です。

副業やフリーランスとしての働き方が一般的に広まっている今、自分の趣味や好きなことが仕事に出来たら良いな・・・と考える方はたくさんいらっしゃるかと思います。

私もそのうちの一人で、過去にうつ病を患い仕事をやめフリーランスとして仕事を始めるときは、やはり好きを仕事にしたいと考えました。
絵を描くことが昔から好きだったので、うつ病の克服のために始めたイラストをそのまま仕事にしました。

現在は、建築士としての経験を生かして人物と住宅、暮らしのイラストを中心にお仕事をしています。今はこのジャンルで落ち着いていますが、それまではファッション系や美容系のイラスト、似顔絵を中心に仕事を請けていました。

イラストレーター4年目に入る私が、これまで自分の仕事に向き合ってきた中で「好きを仕事に」することについて自分なりに考えてみました。
これから自分で仕事をしたいと考えている方の参考になれば幸いです。

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「好きを仕事に」はどんな仕事?

早速ですが、「好きを仕事に」したいと考えたとき、あなたはどんな仕事を思い浮かべますか?
タイトルに”イラストレーターの”とは言っているのでイラストレーターさんが多く見てくださっているかなと思うのですが、そんな方は「絵を描くのが好き」でイラストレーターの仕事を始めましたか?
実際イラストを仕事にしてみてどうでしょうか?

私がこれまでイラストを仕事にしてきて感じたことは、職業を「好きなこと」にするだけでは難しい。ということです。

つまり、絵が好きだからイラストレーターになります!だけでは足りないということです。
どういうことか説明します。

職業が「好きなこと」では物足りない?

何度も言いますが、職業が「好きなこと」では残念ながらまだ浅いです。
ただ趣味の延長線で仕事にしてしまうのはとても苦しい時期が必ず来ますし、他者との差別化が必要になります。絵柄だけで勝負できるくらいセンスのあふれる方は問題ないかもしれませんが、そうではない場合が多いのではないでしょうか?

私がそうです。
私は絵柄では勝負できないと感じています。

SNSが生活の中心になった今、SNSで仕事をする方がたくさんいます。
そして一般の方も、SNSが仕事につながるんだ!と知って参入している方が年々増えています。絵柄が似ている方も多くいらっしゃいます。
そんな中、自分独自の世界観を持てている方はどんどん人気になる方もいらっしゃいます。ですが、私の場合は独自の世界観はなく、ただ「絵を描くことが好き」でしっかり「物の構造を理解して表現する」ことができるというだけにすぎません・・・。そんな私はやはりアーティスト的な活動はできないと早々に思い知りました。

じゃあその独自の世界観はないけど絵を描くことが好きで絵を仕事にしたいと思っている人は、どうしたらいいのか?
考えていきます。

無意識レベルで好き・得意なこと

皆さんは自分の無意識レベルで好きなこと、分かりますか?
実は目の前に「無意識レベルで好きなこと」があるのに、需要や流行りばかり目に入って、本当に自分の好きなことがわからないことって多いと思います。

具体例として私のこと、少し語らせてください。

私の経験から見つけた、私の無意識レベル

私が無意識レベルで好きなこと・得意なことは「家」関連でした。
昔から「家」が大好きで、住宅の設計士になりたいと人生を歩んできました。「家」もざっくりしていますが、細かく出すと「住宅という建物」「内装」「家具」「雑貨」「庭」などが好きです。

イラストの仕事を始めるまで

新卒で入社した会社は住宅会社で、昔思い描いたとおりに住宅の設計士として仕事を経験しました。そんな中うつ病になり休職しました。休職期間中、住宅設計よりも達成感が早く感じられる「イラスト」にのめりこみました。

昔から絵を描くことは好きで、小学生の頃は自由帳に毎日勉強もせず絵を描きまくっていました。勉強のノートより自由帳を買ってもらっていた記憶しかないくらい・・・。
その絵を描くことが好きということを思い出し、またイラストを休職中に毎日描くようになりました。
その時は人物を中心に描いていました。理由は、昔から絵を描くなら人物だったからなんとなく人物のイラストを描いていました。

私の中で当時、「イラスト」と「住宅が好き」は別物だと感じていたんです。

そして、SNSに描いた人物イラストを載せるようになりました。
SNSにも人物のイラストを載せている方が本当に多く、人物イラストが当たり前というか、需要や人気があると感じていました。

最初は仕事にしようとも思っていなかったのですが、入り口として似顔絵のご依頼を請けることはよかったと思います。仕事の流れや、自分で仕事をするという感覚が身につきました。

その似顔絵を仕事としている中でぶち当たった壁が、それ以上になかなか進まない。ということでした。

人物イラストの仕事(ファッション・美容系)

人物イラストを描いている方はたくさんおられ、テイストとして絵柄が似ている方も多いです。
企業様からイラストの仕事の相談があっても数人の候補者をクライアント様に提案し、採用された方が仕事につながることが多くなりました。
ありがたいことに採用していただけたことも何度かありましたが、採用されるかもと期待してしまって採用されなかった時の残念なあの気持ち・・・つらい。泣

そんなことを何度か経験しているうちに気付きました。
ファッション・美容系は供給が飽和状態だと感じました。なぜなら、人物を描ける人は多く、人物が描けるということは服も描ける方が多く、人が何かをしているイラストは、イラストレーターなら描ける方が多いからです。人物中心ではない方ももちろんおられますので、絶対というわけではありません。

そこで、方向転換を視野に入れました。

方向転換

私の得意なことは何だっただろうかと考えたとき、やはり住宅設計士としての経験が浮かびました。(遅い)

最初に始めたのは、iPadで設計する方法を探ること。
iPadはあるけどCADがない私ができること、紙を消費することが当たり前だった住宅業界に向けてiPadでできることをもっと探りたい!と思い行動しました。

そこで最適なアプリを発見しYouTubeで発信。2万回以上再生され、今では住宅の間取りを発信している人の多くがそのアプリを使用されています。
そして、私自身も自分で考えた間取りをSNSで発信するようにしました。それだけでなく、ココナラやランサーズで「間取りイラスト描きますよ」という商品の出品をしました。

でもまた、間取りを描けるだけでは浅いと感じました。
私に住宅関連のイラストを依頼することのメリットが感じていただけるよう、もっと深堀していきました。

私は建築士資格を持っており、建築に関して知識があります。
正直、間取りイラストは図面をイラストにするだけの場合は、知識がなくても描ける場合があります。
なので、私はそのさらに先の「構造」や「環境工学」などといった専門知識や、「空間認識能力」や流行を知るための「情報収集」などの得意を生かした【建築士イラストレーター】という肩書を作りました。

そうすると、宮師=間取りが描けるイラストレーター、住宅の知識があるイラストレーターとして知られるようになり、住宅会社のHPやパンフレット、提案資料等のイラストを担当することが増えました。
今では8割は住宅関連のお仕事です。
担当の方にも、嚙み砕いた詳しい説明が必要なく依頼がスムーズでありがたいと言っていただいています。(いつもありがとうございます)

あなたにとっての無意識レベル

すみません、自分語りが長くなってしまいました。
あなたにとって無意識レベルで好きなこと、得意なこと、加えて知識があることは何か思い浮かびましたか?

今までの人生での経験を振り返り、気づいたら見ているものや手に取っているものは何だったか、考えてみてください。

「いや、だから絵を描くことが好きなんだって」

という方、まだいらっしゃるかもしれません。
今まで通りのスタイルでイラストの仕事をしていくのでしたら、それで良いと思います。

ただ、そうじゃなくて、もっと他の人と差別化したい!もっと仕事を請けたい!私といえばこのジャンルというものが欲しい!という方は、深堀って考えてみてください。

おそらくすぐには分からない方が多いと思います。
毎日自分を振り返っている私で気づくのが遅かったですから(笑)。

でもこれからは、この記事を読んでくださったあなたは常に自分の本当に好きなこと、得意なこと、知識のある事、詳しいことは何だろうか?と考えるようになります。
そして、普段の生活で、無意識に見ていたものが何だったのか気づけるようになるかと思います。

  • 気付いたらSNSでインテリアばかり見ていた!
  • そういえば私、料理が好きだった!
  • 図解にしてノートにまとめるのが得意だった!
  • キャンプが好きだから、キャンプ道具や過ごし方については詳しいよ!

などなど。一見イラストとは関係ないように感じることも、掛け合わせれば自分の得意ジャンルになり差別化ができます。もっと深堀って、ニッチな分野に攻めても良いかもしれません。

やっぱりまだわからないな・・・という方も多いかと思います。
そんな方は周りの方に、私が詳しいことって何?と聞いてみても良いと思います。自分では気づかなかった、自分にとって「当たり前のこと」が実はほかの方にとっては”知識があってすごい!””これができるなんてすごい!”と思うことがあります。
もし機会があれば他の方に質問してみてください。きっと、あなたの得意が見つかります。

あなたのお仕事がより豊かになりますように。

 

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